理想的な社会を築くために、何をどのようにすればすればよいのかの研究を、平成4年より続けて参りました。
 先ず、社会が理想的であるためには、いのちが理想的である必要のあることが出発点となりますので、「理想のいのち」とはどのような状態であるのかを探り、それと対称を成す「現実のいのち」の状態をも含めて、より具体的に把握するための方法を研究致しました。
 その結果は以下の通りですので、ご説明させていただきます。


1.目 標
 人は夫々に何らかの目標を立てて生活しているものと考えますが、いのち全体として考えた場合は、健康、幸福、平和を目標にしていると言ってよいと思います。

 しかし、現実にはそうならずに、しばしば病気、不幸、戦争さらには災禍に陥ってしまうことがあります。
 何故に、このような状態に成ってしまうのでしょうか。

2.動 機
 そこで、人が行動を起こして病気、不幸、戦争、災禍に至ってしまう場合の動機について考えると、それは仏教で教えている心の三毒(貪、瞋、痴)(注)と妄執であると考えられます。
 理想の動機としては、三毒の反対の状態である、平静、無欲、賢明であると考えます。

(注)仏教で教えているところの心の三毒とは、貪欲(どんよく)、瞋恚(しんい)、愚痴(ぐち)をいいます。貪欲とは欲深いこと、瞋恚とは怒りのこと、愚痴とは智恵にひらけず、現象に迷い真実をわきまえないこと、すなわちおろかなことで、本来は無明すなわち無知であることをいいます。

3.行 為
 理想の動機を持って行動をなす際は、慈悲、慈愛、感謝の行為が理想であると考えます。
 しかし、しばしばその反対である、怨恨、憎悪、呪詛及び欺瞞の行為に陥りかねない、というのが人間であることも現実です。

4.過 程
 理想の行為である、慈悲、慈愛、感謝がなされれば、次の目的の状態に至る過程として、宥恕、賞賛、安心が生じるでしょう。
 しかし、否定的な行為がなされた場合は、恐怖、嫉妬、不安、憂鬱が生じてしまうこととなります。

5.目 的
 理想のいのちの目標、すなわち、平和、幸福、健康を達成するための目的としては、いのち全体として考えると、美麗、愉悦、安寧がふさわしいのではないかと思います。
 しかし、否定的な行為がなされる時は、上記と反対の、醜悪、悲嘆、苛々、さらには疑念が目的となってしまい、現実にそのような状態に陥ります。

6.結 果
 その結果として、理想のいのちの場合は、融和、満足、気楽の状態となり、そのことによって目標である、平和、幸福、健康の状態が達成されることになります。
 その反対に、現実のいのちの場合には、離反、不満、心配、混迷の結果となってしまい、そのため目標が、戦争、不幸、病気、災禍という状態として現実化することとなります。

7.肯定的と否定的
 「理想のいのち」に共通する項目として、「肯定的(ポジティブ)」ということがあげられます。すなわち、健康、幸福、平和と言う目標を達成するための、理想の動機、行為、過程、目的、結果すべては、「肯定的(ポジティブ)」であって初めてその状態を実現できるのです。

 もしも「否定的(ネガティブ)」であって、否定的な動機、行為、過程、目的、結果の状態があれば、それは「現実のいのち」の目標である、病気、不幸、戦争、災禍を招いてしまうこととなり、日本及び世界の、現今の閉塞して問題を抱えたままの状況から抜け出せないこととなってしまいます。

 つまり、理想的な社会、すなわち日本が平和であり、さらには世界が平和となるためには、常に「肯定的(ポジティブ)」であることが必要となります。

8.理想と現実のいのちの図案化
 理想のいのちを「九良気」、「九善気」、現実のいのちを「二十四悪気」と夫々名付け、それらを図案化しましたので、ご参考ください。

 <理想のいのち>
  ・九良気
  ・九善気

 <現実のいのち>
  ・二十四悪気